庭の高さの話

庭園計画の要、『高さ』についてのお話

【目線の検討図】

お庭を計画するとき、上記の様な目線の検討をしながら現場の計画を行っていきます。

上の図は何を検討しているかというと、

実は地面の高さと家の1Fの高さって、だいたい50cmぐらい高低差があるんです。

そうなると、どういうことになるかというと、下の図のように、家の中で椅子に座った状態やくつろいでいるとき、

足元に植えた草花や、据え付けた石は全く見えないことになります。

せっかくお庭を綺麗にしつらえたのに、立ってのぞき込まないと見えないことに・・・。

そこでどうするかというと、

上の図の様に、地面の高さを上げてしまいましょう。

ブロック積と土で簡単に上げることができます。

そうすることで、家の中でくつろいでいるときでもしっかりと足元の植栽まで楽しむことができます。

上のお庭でも、自然の石組を使いながらデッキのレベルまで地面を上げています。

これにより、デッキや家の中からくつろいでいる時の目線は上の写真のようになります。

もし地面のレベルを上げてなかったらおそらく上の赤線の部分は見えなくなっていたと思われます。

写真加工で作ってみましたが、上のような感じです。これも緑が見えていて綺麗ですが、可能であれば足元のしつらえまで見えた方がいいのではないかなと思います。

この考え方を元に計画、施工した実例

下の写真は和室の掃き出し窓の部分なのですが、目の前が年季の入った擁壁で、お隣の持物なので塗るわけにもいかず、和室からの見た目をどうにかして向上させたいというご依頼でした。

お客様は背景に竹垣をして、前に植栽、というようなイメージを持たれていました。ですが、実際にこの空間には竹垣だけを立てて、前に植栽をしても、樹木の上の方しか見えず、足元に景石や低木を植えたとしても、

覗きこまなくては楽しむことができないことになってしまいます。

 

目線図を書いて検討しましたが、やはり40cm近くは地面を上げてやらないと、庭を本当の意味で和室から楽しむことができないことがわかりました。

このように、ブロックで坪庭空間を作りました。

こうして和室内から下の写真のような光景を楽しむことができるようになりました。もしゼロレベルで庭を作っていたら、下の3つの六方石は全く見えなくなっていたことでしょう。

高低差がある敷地こそが外構・庭園計画の醍醐味!!

敷地の高低差が多いことは、外構工事のコストが高くついたり、家への動線がしんどかったり、あまり良くないことの様に捉えられがちです。

しかしながら、上手くお庭のレベルを操作することで、椅子や花壇、BBQテラス、庭のビューポイントなど、様々な要素を作り出すことができます。

このあたりにこだわりを持ってプランニングをすることがガーデンデザイナーの腕の見せ所です!