家のどこに植えれば紅葉が綺麗になるの?

秋になると大変綺麗に紅葉する落葉樹。

当園にお越しいただくお客様によく質問を頂く内容として、次のようなものがあります。

「このモミジは綺麗に紅葉しますか?」や「綺麗に紅葉しているモミジが欲しいです。」

実は、モミジの紅葉というのは、個体差・・・ももちろんありますが、環境に依存している部分も非常に大きいです。

そのため、当園では綺麗でない紅葉をしているモミジが、お客様のご自宅に行ったらすごく綺麗に紅葉した、という場合もあれば、その逆もございます。

●落葉はなぜ起こる?

そもそも、落葉はなぜ起こるのでしょうか。

落葉樹は、東北地方などの北国に多く、常緑樹は九州などで多く見られます。実際に我々植木を販売している会社も、落葉樹は関東から仕入れていることが多いです。つまり落葉樹は常緑樹に比べてより寒い地方に生息していることになります。

そのため、落葉樹は北国を生き抜くための仕組みを考える必要がありました。葉っぱがついたまま冬を迎えると、葉っぱがカチカチに凍って枯れてしまうかもしれないからです。

その結果、冬場は葉っぱを落としてしまって、完全お休みモードになってしまうという方法を考え出しました。

それが我々が目にする、スッテンテンな落葉樹の冬の姿なのです。

●紅葉・黄葉(こうよう・おうよう)はなぜ起こる?

上記のように、落葉樹は気温が下がってくると、冬を耐え忍ぶための準備をしなくてはなりません。

この辺りは何度でどうなるとか、まだはっきりしたことがわかっていないようなのですが、一般的には5℃とか8℃とかそれぐらいの気温になると、落葉樹の葉っぱの付け根には離層(りそう)と呼ばれる層が形成されます。

そのため、本来茎へと運ばれるはずだった糖分が離層を通過できず、葉に蓄積され、それが太陽光などによって反応してアントシアニンという赤い色素に合成されます。

この赤い色素が私たちの目に紅葉として見えているということです。

また、モミジでも、赤ではなく黄色っぽくなっていることもあると思います。

これは紅葉とは別の仕組みです。

元々葉には、カロチノイドと呼ばれる黄色い色素が含まれているのですが、普段は緑色の色素であるクロロフィルに負けて見えていません。

それが冬の訪れとともにクロロフィルが分解消失するため、黄色く見えてくるのです。

●綺麗な紅葉になる条件は?

これも諸説あるようですが、一般的には紅葉は、いい天気が続き、その後急に冷え込むようなときに綺麗になるといわれています。

ひとつ前の項目を読んで頂いたらわかるように、葉っぱに残っている糖分から合成されたアントシアニンが赤色を呈しているわけですから、葉っぱの中にたくさん糖分が含まれている方が、紅葉が綺麗なことになります。

つまり糖濃度が高ければ高いほどいいわけですから、葉っぱにはあまり水分が含まれていない方がいいということです。

そのため、雨が降るのではなく、晴れている環境が続く方が、葉っぱの中の糖濃度が高くなり、紅葉が綺麗になります。

また糖分ができるだけ葉っぱの中に閉じ込められていた方がよいのですから、急速に離層が形成されたほうがよいということになります。

そのため「いい天気が続き、その後急に冷え込むような時」に綺麗になるわけです。

また前項でも述べたように、アントシアニンの合成には太陽光が必要なため、日が当たる場所の方が紅葉が綺麗になります。

●家のどこに植えれば紅葉がきれいになるの?

上記の条件を踏まえていうと、「日が当たりやすく、周りに壁などがなく開けていて、突然やってくる冬の寒波を受けやすい場所」が一番紅葉が綺麗になるといえると思います。

逆に言うと、よく植えられている坪庭や中庭のモミジは、建物の壁に囲まれた関係で、温度が下がりにくく、日も当たりにくいため、なかなか紅葉が綺麗になりにくいといえるでしょう。

建物や壁の近くにあるモミジも同様です。

ただ、他にもそう単純化できないほどに色々な要素が絡み合っての事ですので、一概には言えません。

中庭でも普通にきれいに紅葉することもありますし、虫に食べられたり様々な要素で、日当たりの環境が整っているところでも綺麗に紅葉しないこともあります。

綺麗なモミジをご家庭で楽しむための一つの考え方として、ご参考いただければ幸いです。